JANコード・インハウスコード(インストアコード)とは?

2024年 05月08日

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JANコード_インハウスコード
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流通業界において商品を識別するためのコードとして、JANコードとインハウスコードが用いられています。
では、これらのコードは具体的にどのような役割を果たし、どのような違いがあるのでしょうか。

目次

  1. 概要と用途
  2. 構成要素と形式
  3. 発行元と管理方法
  4. まとめ

1. 概要と用途

JANコードとは

JANコードは【Japanese Article Number】の略称です。

コンビニやスーパーなどでは、商品パッケージに印刷されているバーコードを販売時にスキャンすることで商品情報を読み取り、 POSシステムと連動して店舗の売上情報や商品情報、消費者動向などを管理しています。

JANコードは商品を一意に識別し、販売データや在庫管理の取得に役立ちます。
小売業やその他様々な業界でJANコードが利用されており業界標準として普及しています。

JANコードを取得することによりECサイトや他店舗など、商品を多くの販売チャンネルに提供することができ、販路の拡大ができることもメリットです。

※JANコードは日本国内のみの呼び方であり、国際的にはEANコード(European Article Number)やGTIN(Global Trade Item Number)と呼びます。

インハウスコードとは

インハウスコードは企業が独自に定めた識別コードです。
※小売り業界などでは主にインストアコードと呼ばれています。

JANコードと異なり各企業が独自の形式や規則でコードを割り当てます。
これは企業内での在庫管理やシステムとの連携など、特定の目的に特化した識別が必要な場合に利用されます。
小売店では自社店舗内のみで販売し、流通させる必要がない商品にインハウスコードを用います。

インハウスコードは企業内部のシステムでのみ使用されることが一般的であり、他の企業や小売店で共有されることはありません。 物流倉庫ではJANコードを持たない商品の在庫管理、入出庫作業などで利用されます。

両者の違いによる適用範囲の異なる点

JANコードとインハウスコードの最大の違いはその適用範囲にあります。

JANコードは一般的な商品識別に使用され、他の企業や小売店との情報共有が可能です。一部ECモールではJANコードを必須としているところもあります。 一方、インハウスコードは特定の企業や組織内でのみ使用され、外部との情報共有は行われません。

この違いによりJANコードは広範囲での利用が可能であり、業界標準として確立されていますが、インハウスコードは特定の組織内でのみ有効であり、 その目的に特化した役割となります。

EC物流倉庫での用途

EC物流倉庫でのJANコード・インハウスコードの利用目的は、以下のようなものがあります。

  • 商品の識別と管理
  • 個々の商品を一意に識別するために使用されます。物流倉庫内での入庫・ピッキング・検品などの作業において、JANコード・インハウスコードを使用することで効率的で精度の高い管理が可能です。 また、倉庫管理システムと連携することで、ヒューマンエラーによる商品間違いを防止することができます。

  • 在庫管理
  • 倉庫管理システムによって商品の在庫数やロケーション(保管場所)が管理されているため、バーコードをスキャンすれば、どの場所にいくつ在庫があるか正確に把握できます。

  • 棚卸作業
  • 物流倉庫では定期的に棚卸作業が行われます。作業員は棚卸リストとともに商品バーコードをスキャンして在庫数を確認し、 倉庫内の実際の在庫と、倉庫管理システムで管理されている在庫との整合性を確保します。

EC物流倉庫でのJANコード・インハウスコードの利用は、効率性を高め、正確性を確保するために重要な役割を果たしています。

2. 構成要素と形式

JANコードとインハウスコードはそれぞれ独自の構成要素と形式を持っています。ここではその構成要素と形式の違いについて見ていきましょう。

JANコードの構成要素と形式

JANコードは標準タイプと短縮タイプの2つに分けられます。
どちらも左から順に、GS1事業者コード、商品アイテムコード、チェックデジットの番号が並びます。
※チェックデジットとはデータの妥当性をチェックするために付加されている検査用数字(末尾1桁)です。

標準タイプ
  • 13桁の数字で構成されています。
  • GS1事業者コードは9桁、10桁または7桁です。
  • 商品アイテムコードは3桁、2桁または5桁です。
  • 最後の1桁はチェックデジットで、他の数字から計算されます。

JANコード

短縮タイプ
  • 8桁の数字で構成されています。
  • GS1事業者コードは6桁です。
  • 商品アイテムコードは1桁です。
  • 最後の1桁はチェックデジットで、他の数字から計算されます。

JANコード短縮

これらの2つのタイプは異なる形式を持ちながらも、共通の要素であるGS1事業者コード、商品アイテムコード、そしてチェックデジットから成り立っています。

バーコードとして印刷される際にはこれらの数字が特定のパターンに従って配置され、スキャンされることで商品情報が読み取れます。

短縮タイプは小型の商品や、製品の包装やラベルなどのスペースが制限されている場合に使用されます。

インハウスコードの構成要素と形式

インハウスコードは企業によって独自に定められるため、その構成要素や形式は多様です。

一般的には下記の通りJANコードに似た形式ですが、3桁~12桁は企業が独自で設定できますので管理番号や部門コードなどに利用できることがメリットでしょう。

インハウスコード
  • 13桁の数字で構成されています。
  • 最初の2桁は02(生鮮食品)、または20~29のいずれかを使うことができます。
  • 3桁~12桁は任意の数字で構成できます。
  • 最後の1桁はチェックデジットで、他の数字から計算されます。

インハウスコード

3. 発行元と管理方法

発行元イメージ
画像出典元

JANコードとインハウスコードはそれぞれ異なる発行元と管理方法に基づいています。 これらの違いによってどのように発行され、管理されるのか見ていきましょう。

JANコードの発行元と管理方法

JANコード(EAN・GTIN)は国際的な規格であり、各国で統一された形式に従って発行されます。

日本の場合、JANコードはGS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)が一元的に管理しています。 企業はGS1 Japanに登録申請し、商品に対するJANコードを取得します。

インハウスコードの発行元と管理方法

インハウスコードは各企業が独自に管理します。

企業は自身のシステムや規則に基づいてインハウスコードを割り当てます。 発行元は企業内の担当者やシステム管理者であり、新しい商品や在庫アイテムが追加される際にコードを生成します。

一般的にはPOSシステムや物流倉庫では倉庫管理システムなどの内部システムでコードが管理されます。 これにより企業は自身の業務や管理ニーズに合わせてインハウスコードを柔軟に管理することができます。

JANコード取得の流れと登録申請にかかる費用

自社製品を作る場合はJANコードの取得をおすすめします。
販路の拡大や管理のし易さはもとより、越境ECにも強みを持っています。
JANコード=日本製品という品質と信頼性を示し、海外の消費者に安心感を与えるため、越境EC市場での競争力を高めるのに役立ちます。

物流倉庫では入出庫作業や在庫管理等、物流をスムーズにするだけでなくコスト面でもメリットがあります。
倉庫管理システムでは商品識別の為にバーコードは必要不可欠です。
バーコードがついていればバーコードの貼り付け費用が不要になり費用を抑えることができます。

JANコード取得の流れ

JANコードはGS1事業所コードの桁数によって付番できるアイテム数が異なります。
取得する前にどのくらいのアイテム数が必要か試算しておきましょう。

1つのGS1事業所コードで使用できるアイテム数
 GS1事業者コード(10桁)  100アイテム
 GS1事業者コード(9桁)  1,000アイテム
 GS1事業者コード(7桁)  10万アイテム
  • STEP 1GS1事業者コードの取得
    GS1事業者コードの新規登録手続きは、GS1 Japanへの登録申請が必要です。
    登録の申請はインターネットまたは書面で行います。
    JANコードを申請し入金が完了すると、概ね7営業日ほどで登録通知書が届きます。
  • STEP 2商品アイテムコードの設定
    GS1事業所コードが発行されたら、次に商品アイテムコードを設定します。
    商品アイテムコードは各商品やサービスを一意に識別するための重要な要素です。
    商品の仕様が異なる場合は、商品アイテムコードを変える必要があります。
    ※商品の色・サイズ・容量・形状・販売単位など
  • STEP 3チェックデジットを計算
    チェックデジットの計算は複雑ですが、GS1Japanの公式サイトで数値を入力するだけで簡単に計算できます。
    チェックデジットの計算できたらJANコードは完成です。
    チェックデジットの自動計算入力フォーム
  • STEP 4商品にJANシンボルを印刷する
    JANコードが完成したら、JANコードのJANシンボル(バーコード)を作成し印刷することによって読み取りが可能になります。JANシンボルは専用のソフト/プリンターで印刷できますが、印刷会社へ依頼するのが一般的でしょう。
    ※JANシンボルのサイズはJIS 規格にて定められています。
  • STEP 5JANコードの通知
    JANコードや商品情報を取引先に通知をします。
    これらの情報を元に取引先はJANコードを含む商品情報を自社システムへ登録し、販売や在庫管理を行っていきます。
  • STEP 6商品出荷
    必要な準備を整えたら商品の出荷を開始します。
    出荷前に商品の品質を確認し、適切な梱包や保護を行い、配送先や納期に注意して出荷を行いましょう。

初期申請料と登録管理費

下表の通り、初期申請料と登録管理費の合計が登録申請料です。
料金は【事業者全体の年間売上高】によって料金が異なります。

登録管理費は支払年数(1年・3年)によって異なり、3年払いの方が費用を抑えることができます。

3年払い(消費税10%込)
事業者全体の年間売上高 初期申請料 登録管理費
 5000億円以上  44,000 円  306,900 円
 1000億円以上 ~ 5000億円未満  276,100 円
 500億円以上 ~ 1000億円未満  152,900 円
 100億円以上 ~ 500億円未満  92,400 円
 10億円以上 ~ 100億円未満  46,200 円
 1億円以上 ~ 10億円未満  22,000 円  20,900 円
 1億円未満  11,000 円  16,500 円
1年払い(消費税10%込)
事業者全体の年間売上高 初期申請料 登録管理費
 5000億円以上  44,000 円  110,000 円
 1000億円以上 ~ 5000億円未満  99,000 円
 500億円以上 ~ 1000億円未満  55,000 円
 100億円以上 ~ 500億円未満  33,000 円
 10億円以上 ~ 100億円未満  16,500 円
 1億円以上 ~ 10億円未満  22,000 円  7,700 円
 1億円未満  11,000 円  6,050 円

参考:GS1事業者コード登録申請料

JANコード取得後は定期的に更新が必要です。
公式サイトでは更新申請料のシミュレーションができます。
(GS1事業者コード更新申請料シミュレーションページ)


4.まとめ

JANコード(EAN・GTIN)は商品識別のための国際的な標準であり、様々な業界で幅広く利用されています。
商品情報の一元管理やPOSシステムとの連携を可能にし、効率的な在庫管理や販売データの取得に活用されます。
また、オンライン販売や電子商取引においても重要な役割を果たしています。

一方、インハウスコードは企業や組織内で独自に定義された商品識別コードであり、外部の標準ではなく独自の管理体制が構築されています。一部の大規模企業や特定の業界で採用されており、自社のシステムとの連携を強化し、効率的な商品管理や在庫管理を実現しています。


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