倉庫に種類ってあるの?それぞれの特徴を解説!
2024年 05月30日
物流業界において倉庫は欠かせない存在です。
しかし、「倉庫」と一口に言ってもその種類や役割は違います。
この記事では様々な倉庫の種類について解説していきます。
目次
倉庫業について
倉庫業を営む場合は倉庫業法の規定に基づき、国土交通省からの登録を受ける必要があります。
倉庫業法 第三条:倉庫業を営もうとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければならない。
登録を受けるためには、後述する倉庫の種類ごとに定めらた施設・設備基準をクリアする必要があります。
また、倉庫の適正な運営や管理のために「倉庫管理主任者」を1つの倉庫に1人配置することが義務づけられています。
倉庫は大きく分けて「営業倉庫」と「自家用倉庫」の2種類があります。
- 営業倉庫:第三者からの物品を保管し利益を得る倉庫
- 自家用倉庫:自らの物品を保管する倉庫
次に営業倉庫の種類を見ていきましょう。
倉庫業(営業倉庫)の種類
営業倉庫は大きく分けて次の3種類があります。
普通倉庫
普通倉庫は、農業、鉱業、製造業などの様々な産業からの貨物や、消費者の家財や美術品などの財産を保管する施設です。これらの倉庫は 法律上の分類に基づいて、1~3類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険物倉庫などに分けられますが、これらをまとめて普通倉庫と呼びます。 後述、それぞれの特徴を説明します。
冷蔵倉庫
冷蔵倉庫は食肉や水産物、農産物、冷凍食品など、10度以下の温度で保管する倉庫です。 低温管理が必要な物品を生産~消費地まで所定の温度(冷凍・冷蔵)を保つ物流、いわゆるコールドチェーン(低温物流)において必要不可欠な施設です。
水面倉庫(水面貯木庫)
物品(主に原木)を水面に浮かべて保管する倉庫です。
水面に浮かべる理由は陸上よりも水面の方が作業性が良いことです。
重量のある原木を河川を利用し運び、陸上に上げずに水面で保管することによって、原木の重さを軽減できます。
さらに乾燥による亀裂防止にも水面保管はメリットと言えます。
水面倉庫では物品の流出防止のため、周囲を築堤などで防護し、セキュリティのため照明装置をつけることも必要とされています。
普通倉庫の種類
ここからは普通倉庫の種類を見ていきましょう。
1~3類倉庫は普段、皆さんが目にする建屋型の倉庫です。
倉庫の設備・構造基準により3つの分類に分けられています。
1類倉庫
建屋型営業倉庫と呼ばれる施設で、一般的な倉庫の多くがこのタイプに分類されます。
最も施設・設備基準が厳しい倉庫で、1番幅広い種類の物品を保管することができます。
設備基準の一例として、防水・防湿・遮熱・耐火(防火)性能が挙げられます。
日用品、繊維製品、紙やパルプ、電気機器などの保管に適した倉庫です。
2類倉庫
1類倉庫の要件の中で耐火(防火)性能を除いたもの。
でん粉、塩、肥料、セメントなどの保管に適した倉庫です。
3類倉庫
2類倉庫より要件が緩和され、防水・防湿・遮熱・耐火(防火)性能を除いたもの。
ガラス類、陶磁器、鉄材などの保管に適した倉庫です。
野積倉庫
屋外に物品を積んで保管する倉庫です。
周囲が柵や塀で囲まれた区画であり、防犯設備や物品落下防止の措置が必要となります。 建物ではないため、雨風や日光に影響を受けない物品を保管することができます。 (鉄材・レンガ・自動車・古タイヤなど)
貯蔵槽倉庫
袋や容器に入っていない液体や穀物のバラの状態の物品を保管する貯蔵庫です。 円筒形が特徴の形状で、いわゆるサイロやタンクと呼ばれています。 サイロには小麦・大麦やトウモロコシなどの穀物類が、タンクには糖蜜などの液状のものが保管されます。
危険品倉庫
消防法が指定する危険物や高圧ガスなどを保管する倉庫です。
保管する物品の性質によって、消防法や高圧ガス保安法など、関連のある法律の規定を満たしている必要があります。
危険品が消防法で指定される数量未満であれば、危険品倉庫以外でも保管が認められる場合があります。 地域によって数量や手続きが異なります。また指定数量未満が必ず保管可能というわけではありませんので注意してください。
トランクルーム
家財、美術工芸・収集品、書籍など、個人の財産を保管する比較的小規模な倉庫です。 倉庫業法によりトランクルームの認定制度があり、国土交通省より優良と認定されたトランクルームは、 「認定トランクルーム」と称することができます。
物品の種類と対応する倉庫
保管できる物品は倉庫によって大きく異なります。
以下は保管できる物品と、それに対応する倉庫です。
第1類物品(1類倉庫、貯蔵槽倉庫※バラに限る)
第2類物品~第8類物品以外のもの
第2類物品(1類倉庫、2類倉庫、貯蔵槽倉庫※バラに限る)
麦、でんぷん、飼肥料、塩、皮革、石こう等
第3類物品(1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫)
ガラス、陶磁器、タイルなど(湿気または気温の変化で変質し難いもの)
第4類物品(1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫、野積倉庫)
地金、鉱物、鉄材、自動車、古タイヤなど野積みで保管が可能なもの
第5類物品(1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫、水面倉庫)
原木など水面での保管が可能なもの
第6類物品(貯蔵槽倉庫)
容器に入れていない粉状、液状のもの
第7類物品(危険品倉庫)
消防法第2条の危険品、高圧ガス保安法第2条の高圧ガス
第8類物品(冷蔵倉庫)
生鮮品、凍結品(10℃以下で保管することが適当なもの)
まとめ
今回は様々な倉庫の種類と取り扱い物品について紹介しました。
異なる倉庫がそれぞれのニーズにどのように応えるかを理解することで、物流プロセスの最適化が図れます。
今後の倉庫利用における判断材料としてお役立てください。