ドライバー不足で運賃はどうなる?物流費が上昇する理由と今後の対策

2024年 01月19日

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2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用され、いわゆる「2024年問題」が本格化しました。

ドライバー不足が以前から続いていた物流業界では、労働時間の制限によって一人のドライバーが運べる貨物量や走行距離にも影響が生じています。

その結果、物流事業者にとっては人材確保や業務効率化がこれまで以上に重要になり、運送会社から荷主企業に提示される運賃にも影響が出ています。

特にEC事業者にとって、配送費は商品の販売価格や利益率にも関わる重要なコストです。

この記事では、ドライバー不足が起こっている背景から、運賃が上昇する理由、2026年現在の物流を取り巻く環境、企業が取り組みたい対策まで詳しく解説します。

ドライバー不足が続いている理由

物流業界でドライバー不足が問題となっている背景には、複数の要因があります。

長時間労働になりやすい

トラックドライバーは、運転だけでなく荷待ちや荷役、点検などにも時間を要します。

特に長距離輸送では拘束時間が長くなりやすく、ドライバーの負担が大きくなりがちです。

こうした労働環境を改善するため、2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、年間の時間外労働は原則960時間までとなりました。

これはドライバーの労働環境を改善するために重要な取り組みである一方、従来と同じ輸送量を確保するには、業務効率化や人員確保が必要になります。

ドライバーの高齢化

ドライバー不足を考えるうえでは、担い手の高齢化も無視できません。

物流を支えるドライバーが不足する一方で、新たな人材を十分に確保できなければ、将来的にも輸送力が不足する可能性があります。

国土交通省は、必要な対策を講じなかった場合、2024年度には輸送能力が約14%、2030年度には約34%不足する可能性があると推計していました。

そのため現在では、「ドライバーを増やす」だけではなく、「限られた人員でより効率的に荷物を運ぶ」ことも重要な課題となっています。

若い人材を確保しにくい

トラックドライバーになるためには、運転する車両に応じた免許が必要です。

普通免許で運転できる車両の範囲は免許取得時期によって異なるため、中型・大型トラックを運転する場合には、それに応じた免許が必要になります。

また、物流業界では勤務時間や休日などの働き方も人材確保に影響します。

人手不足が深刻になるなか、物流事業者にとっては給与だけでなく、労働時間の短縮や休日の確保など、働きやすい環境づくりも重要になっています。


2024年問題で何が変わった?

「2024年問題」とは、働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働に上限が設けられたことなどにより、物流業界で輸送力不足や物流コスト上昇などの影響が生じることを指します。

2024年4月以降、ドライバーの時間外労働は年間960時間が上限となりました。

これまで長時間労働によってカバーしていた輸送についても、現在は同じ方法で対応することが難しくなっています。

そこで重要になるのが、荷待ち時間の削減や積載効率の向上、配送ルートの見直しなどです。

国も物流の効率化を進めており、2025年4月からは物流効率化法により、すべての荷主に対して積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役時間の短縮などに関する努力義務が課されています。

さらに2026年4月からは、一定規模以上の荷主や物流事業者が「特定事業者」に指定され、中長期計画や定期報告などが求められる制度も始まっています。

つまり、2024年問題は「2024年になったら終わる問題」ではなく、現在も物流業界全体で対応が続いている構造的な課題なのです。


ドライバー不足で運賃が上がるのはなぜ?

では、ドライバー不足によって、なぜ運賃が上昇するのでしょうか。

主な理由として、次の4つが挙げられます。

1.人件費が上昇する

ドライバー不足が続くと、物流事業者は人材を確保するために待遇改善を進める必要があります。

給与や手当の見直しだけでなく、労働時間を短縮するための設備投資や採用活動などにもコストがかかります。

こうした費用は運送会社の経営コストとなるため、結果として運賃の見直しにつながる場合があります。

2.輸送効率が低下する

ドライバーの労働時間に上限がある以上、従来と同じ輸送方法を続けることが難しくなるケースがあります。

例えば、1人のドライバーが長距離を走っていた輸送を複数人で分担したり、中継輸送を活用したりする方法があります。

こうした対応によってドライバーの負担を軽減できる一方、輸送に必要な人員や拠点が増えれば、コストが増加する可能性があります。

3.荷待ち・荷役に時間がかかる

トラックドライバーの仕事は、運転だけではありません。

物流拠点での荷待ちや、商品の積み降ろしといった荷役にも時間がかかります。

荷待ち時間が長くなれば、その分だけドライバーの拘束時間が増え、限られた労働時間を効率的に使えなくなります。

2026年に公表された経済産業省の調査では、2025年度のトラックドライバー1運行当たりの平均拘束時間は10時間13分、荷待ち・荷役等の時間は2時間2分でした。

前年度と比べて荷待ち・荷役等の時間は減少しているものの、依然として輸送効率を左右する重要な要素となっています。

4.燃料費や車両維持費などもかかる

運送会社が負担するのはドライバーの人件費だけではありません。

トラックの燃料費、車両の購入・リース費、整備費、保険料、営業所や物流拠点の維持費など、さまざまなコストが発生します。

そのため、ドライバー不足だけを理由として運賃が変動するわけではなく、物流業界全体のコスト上昇が運賃に反映されることがあります。


EC事業者にも影響する物流費の上昇

ドライバー不足や物流コストの上昇は、EC事業者にとっても無関係ではありません。

EC物流では、

  • 商品の保管
  • 入荷・検品
  • ピッキング
  • 梱包
  • 出荷
  • 配送
  • 返品対応

など、販売後の商品を顧客へ届けるまでにさまざまな物流業務が発生します。

特に配送費は、商品のサイズや重量、配送先、配送頻度などによって変動します。

さらに、物流事業者側の人件費や配送コストが上昇すれば、配送サービスの料金にも影響する可能性があります。

EC事業者にとっても、翌日配送や送料無料といったサービスを従来と同じ条件で維持することが難しくなっています。

そのためEC事業者には、単純に「配送費を安くする」という考え方ではなく、物流全体の効率を高める視点が求められます。


物流費を抑えるために企業ができること

ドライバー不足による物流コストの上昇に対して、企業側でもできる対策があります。

配送回数を見直す

注文ごとに個別配送するのではなく、納品日を集約したり、配送頻度を見直したりすることで、輸送効率を高められる場合があります。

物流効率化法でも、繁閑差の平準化や納品日の集約などが積載効率向上の取り組みとして示されています。

荷姿・梱包を見直す

商品のサイズに対して大きすぎる箱を使用していると、トラックの積載スペースを圧迫する可能性があります。

商品の形状に合わせて梱包資材を見直し、積載効率を高めることも物流コスト削減につながります。

倉庫の立地を見直す

配送先から遠い場所に倉庫があると、輸送距離が長くなり、配送コストやドライバーの負担が増える可能性があります。

EC事業者の場合、販売エリアや出荷量を踏まえて、配送拠点として利用する倉庫の立地を見直すことも重要です。

物流業務を外部委託する

商品の保管から出荷までを自社で行っている場合、物流業務を専門業者に委託する方法もあります。

物流倉庫に保管・ピッキング・梱包・出荷などをまとめて任せることで、自社スタッフの負担を軽減できます。

また、物流事業者が持つノウハウや設備を活用できるため、物流業務の効率化につながる可能性があります。

ただし、委託する際には料金だけでなく、保管環境、対応可能な商品の種類、出荷能力、配送会社との連携なども確認することが大切です。


これからの物流は「効率化」が重要に

ドライバー不足や2024年問題への対応は、単純にドライバーを増やせば解決する問題ではありません。

限られた人員や車両を効率的に活用し、荷待ち時間や荷役時間を減らしながら、より多くの荷物を安定して運べる仕組みをつくる必要があります。

そのため今後は、

  • 物流DXの導入
  • 倉庫作業の省人化
  • 配送ルートの最適化
  • 共同配送
  • 中継輸送
  • 積載率の向上
  • 納品条件の見直し

など、物流全体を効率化する取り組みがさらに重要になるでしょう。

企業側も「運賃を下げてもらう」という発想だけではなく、物流事業者と協力しながら、無駄な輸送や荷待ちを減らすことが求められています。


まとめ

ドライバー不足は、物流業界だけの問題ではありません。

EC事業者をはじめ、商品を運ぶ多くの企業にとって、配送コストや物流サービスの維持に関わる重要な課題です。

2024年問題による時間外労働の上限規制に加え、2025年からは物流効率化に向けた荷主の取り組みも求められ、2026年には一定規模以上の事業者に新たな対応が必要となっています。

今後、物流コストの上昇を抑えながら安定した物流を維持するには、配送条件や梱包、倉庫の立地、出荷方法などを含めて物流全体を見直すことが重要です。

「配送費が高くなった」「物流業務に時間がかかる」と感じている場合は、運賃だけを見るのではなく、保管から出荷、配送までの流れを整理してみましょう。

物流倉庫を活用して保管・出荷業務を効率化することも、物流コストや社内業務の見直しにつながる方法の一つです。


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